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第1回 企業におけるダイバーシティとは

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第1回 企業におけるダイバーシティとは

4人のビジネスマンが相談しているイメージ画像
 労働人口の減少による人材確保難を背景として、企業におけるダイバーシティ推進が加速しています。
具体的には、女性、高齢者、障がい者、外国人材など、これまで日本の企業においてマイノリティな存在だった層を採用し、定着を支援し、活躍を促す取組みです。ただ一部の企業には、多様な人材を採用すれば企業のダイバーシティが推進される、という誤解がみられます。ダイバーシティ推進は、新しいタイプの人材を採用すれば実現できるものではありません。
大事なのは、これまで女性などが定着・活躍できなかった原因がどこにあるのかを探り、自社の制度やマネジメント、風土などを変えていくことにあります。企業が、これまでのままであれば、新しい人材を採用しても、結局は定着・活躍できないでしょうし、そうした状況が続けば、早晩採用すらできなくなるでしょう。



 「ダイバーシティ推進によりイノベーションが起こる」と言われますが、これも新しい人材を採用しさえすれば、その人たちの新しい発想でイノベーションが起こる、と期待するのは危険です。従来の組織のままでは、新しいタイプの人材は従来の仕事のあり方や発想に取り込まれてしまうか、特別な存在として過度な配慮で十分仕事をさせてもらえず、活かされない可能性が高いです。女性が子育てにより時間制約社員になることで、一人前に仕事をさせてもらえず、公正な評価やキャリア形成が期待できない組織が未だに多いように。



 ダイバーシティ推進でイノベーションが起こるという構造は、まずは、多様な人材を受け入れるために既存の組織そのものが変わることで起こる、そしてさらに、新しい組織の中で多様な人材が多様な働き方や価値観を受容されつつ能力発揮をすることで起こる、ということです。そういう意味では、本気でダイバーシティを推進しようとする企業には、短時間勤務制度などの両立支援を利用しつつもキャリア形成が可能な人事施策の導入が期待されます。
しかしながら、現状ではそうした施策を導入している企業は3割程度にとどまっています(下図参照)。






図(ダイバーシティ)
図 両立支援制度を利用しながらキャリア形成が可能な人事施策の検討(無期労働者)

出所:三菱UFJリサーチ&コンサルティング「平成30年度仕事と育児の両立に関する実態把握のための調査研究事業(企業調査)」(厚生労働省委託調査)
プロフィール(矢島氏)



【執筆者:矢島 洋子氏】

プロフィール

三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社
主席研究員/共生社会室室長/女性活躍推進・ダイバーシティマネジメント戦略室長/中央大学大学院戦略経営研究科客員教授
1989年 ㈱三和総合研究所(現MURC)入社。2004年~2007年 内閣府男女共同参画局男女共同参画分析官。少子高齢化対策、男女共同参画の視点から、ワーク・ライフ・バランスやダイバーシティマネジメント関連の調査・研究・コンサルティングに取り組んでいる。著作に、『ダイバーシティ経営と人材活用』東京大学出版会(共著)、『国際比較の視点から 日本のワーク・ライフ・バランスを考える』ミネルヴァ書房(共著)、『介護離職から社員を守る』労働調査会(共著)等。

連載インデックス(ダイバーシティ)

中小企業におけるダイバーシティ推進
第1回 企業におけるダイバーシティとは
・第2回 2019年11月公開予定
・第3回 2019年12月公開予定
・第4回 2020年02月公開予定
・第5回 2020年03月公開予定