【解説】育児をしながら仕事を続けるには
中小企業の経営者や人事の方とお話していると、未だに、女性社員が育児休業から復職する際、短時間で働けるよう、パート(非正社員)への転換をさせることが良いことだと誤解している方がいらっしゃいます。
確かに、子が1歳前後で育児休業から復帰した場合、当面「短時間勤務」で働くことを希望する女性は多いです。しかし、短時間で働くとしても、これまで正社員だった女性には、「正社員のまま短時間勤務」を可能とすることが基本です。育児・介護休業法では、子が3歳までの社員が希望した場合は、「1日6時間」の短時間勤務を認めることが、事業主に義務付けられています。企業によっては、独自に、6時間以外の選択肢や、子どもがもっと大きくなるまでの短時間正社員を認めているところもあります。6時間よりもかなり短い時間しか働けない場合など、本人がどうしても非正社員になることを望む場合はやむを得ませんが、本人の中長期的なキャリアと企業にとっての戦力維持の視点から、できるだけ正社員のまま働いてもらえた方が良いと言えるでしょう。
また、すべての女性社員が「短時間」を希望するわけではありません。子育てしながら働く正社員女性の中でも、勤務時間だけでなく、出張や残業、転勤の可否など、対応できる範囲は様々です(図表参照)。
まずは、本人とよく話し合い、事情を聴いて、希望に沿った選択肢を提示することが大事です。一方的に、子どもを持ったら「こういうことはできないに違いない」と決めつけてしまうのは、「無意識の偏見(アンコンシャスバイアス)」と言って、社員の仕事のモチベーションを下げてしまったり、キャリアの可能性を狭めてしまう危険性があります。
図表 子育て中の正社員女性の対応できること・できないこと (n=1,419)
出所:三菱 UFJ リサーチ&コンサルティング「正社員の子育て女性に関する調査」2016 年