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第3回 人材活性化のための女性活躍に重要なこと

第3回 リード文(人材活性化)

あんしん財団広報誌 連動企画
中小企業の人材活性化に向けたいきいきと働ける職場づくりとは
~株式会社ふらここにおける女性人材活躍の取組み~

広報誌タイアップ企画・中小企業経営者インタビュー記事
2回にわたって㈱ふらここの事例を紹介しながら、女性活躍推進を通した中小企業における人材活性化について見てきました。 今回は、そのまとめとして、社会保険労務士の佐佐木由美子氏と、㈱ふらここ代表取締役の原英洋氏に、「中小企業が女性活躍推進にどう取り組めばよいのか」についてご意見を伺いました。





プロフィール(人材活性化)

掲載企業:株式会社ふらここ 代表取締役  原 英洋氏

1963年東京生まれ。100年以上続く人形師の家庭で育ち、1987年、23歳で家業を継承。2008年に独立し、株式会社ふらここを設立。
事 業 所 名:株式会社ふらここ
本社所在地:東京都中央区東日本橋3-9-8 furacoco house
設 立 年:2008年 従 業 員 数:27名(男性1名/女性26名)
事 業 内 容:雛人形・五月人形を中心とする日本人形の製造販売
HP:https://www.furacoco.ne.jp/


監修者:グレース・パートナーズ株式会社代表 人事労務コンサルタント・社会保険労務士 佐佐木 由美子氏

中央大学大学院 戦略経営研究科修了、MBA取得。アメリカ企業日本法人を退職後、2005年3月にグレース・パートナーズ社労士事務所を開設し、現在に至る。女性の雇用問題に力を注ぎ、働く女性のための情報共有サロン「サロン・ド・グレース」を主宰。新聞・雑誌等、多方面で活躍。
HP:https://gracepartners.jp/








第3回 本文1(人材活性化)

Q.中小企業が女性活躍を推し進めていくうえで、最も重要なことは何だとお考えですか?

佐佐木 「一番大事なのは、トップの決断です。女性活躍というと、『女性管理職比率を高めることだ』とか、『○と○の両立支援を手厚くすればよい』といった意見がありますが、そうしたステレオタイプな対応だけでは女性活躍は進みません。均等待遇と両立支援を同時に進めていくことが大切ですし、経営トップの意識が何よりも大切です。そして、経営トップの明確な意志のもと、実際問題としては、働きやすい環境づくりを推進することが肝要です。給与や福利厚生面で際立つ好条件を提示できない、という中小企業は多いと思います。そうした中で少しでもアドバンテージを持たせるには、柔軟な働き方・休み方ができるようにする、ことです。現在は新型コロナウイルス感染拡大防止として在宅勤務が進んでいますが、在宅勤務ができることは、子育て世代の女性にとっては大変魅力があります。時間単位で休めることや残業が少ないこと、フレックスタイム制など、従業員の意見もヒアリングしながら、働きやすい雇用環境を提供することは、中小企業においてもできることで、少しでも早くそうした取組みをするに越したことはありません」


原 「女性が働きやすい制度や仕組みをつくっていくことはもちろん大事ですが、その制度や仕組みの土台を成す“会社の風土”をしっかりとつくっていくことが一番大事なのではないでしょうか。いくら制度や仕組みを整えても、その下で働く社員たちの気持ちがついていかなければうまく機能しないでしょう。女性は『何のためにこの仕事をしているのか』という部分を重視する傾向があります。ですから、女性社員には『自分は何のために仕事をしているのか』について理解してもらい、納得を得ることが大事で、そのことと並行して、働きやすい職場づくりに取り組むことで、人材が生きてくるのだと思っています」






第3回 本文2(人材活性化)

Q.女性の活躍を妨げている要因は何だとお考えですか? 男性の経営者の方々に訴えたいことはありますか?


佐佐木 「女性に過度な配慮をし過ぎている、と感じていることがあります。例えば、『女性にはリーダーは務まらないだろう』とか、『宿泊を伴う出張は女性にはやらせない』といったことは、よくあるケースです。大変だろうと配慮した結果、それが排除になってはいないでしょうか。社内の会議を夕方の6時からやるという話も聞きますが、子育て中の女性社員から見れば、その会議から排除されたと感じてしまうでしょう。働く意欲、素晴らしい能力を持った女性はたくさんいます。女性というだけでチャンスを摘まないでほしいと思いますし、チャンスを与えないのは会社にとっても宝の持ち腐れだと思います。職域を広げ、権限等を委譲していくことで女性の能力も高まります。昇進したい女性もいるということを忘れないでいただきたいですし、少なくとも、等しく各社員の能力を見てほしいと思います。私は、中小企業経営者の方々に女性活躍推進について働きかけを行ってきましたが、女性活躍推進法施行後においても、感触はあまりよいとはいえず、実感として取り組みが進んでいるとは言い難い状況です。むしろ働き方改革関連法の時間外労働削減等に気を取られ、必要に迫られない限りは女性活躍まで手が回らないといった印象を受けます。2022年4月からは常時労働者が101人以上300人以下の事業主にも女性活躍推進法における行動計画の策定・届出、情報公表等が義務となりますが、それに先駆けて100人以下の企業においても、厚生労働省の策定ツールなど活用し、積極的に行動計画を策定し、自社の女性活躍における課題分析等を行ってもらえたらと思います」


原 「女性活躍をテーマにしたセミナーに登壇させていただいたとき、男性の方から『どうすれば女性が男性並みに働いてくれるのだろうか』と質問されたことがあります。『女性の活躍』とは、女性を男性並みに働かせることではなく、女性が女性として、その人らしく力を発揮してもらうことです。『男性と同じように働いてもらう』という視点で考えること自体を変えていかないといけないのではないでしょうか。長い間、日本の社会は男性中心に動いてきました。その社会文化や慣習が根強く残る中で、女性の活躍を実現していくことは並大抵のことではありません。結局、女性も男性もなく活躍できる職場をつくっていくためには、毎日毎日の関係性の中でしっかりとコミュニケーションをとり、試行錯誤を繰り返しながら、お互いの考え方や意識の差を埋めていくしかないのだと思います。それは、何かを耐え忍ぶとか、我慢するとかというネガティブな意味ではなく、女性が活躍することで男性も活躍し、会社が成長し、みんなが生き生きと働ける職場になっていくという、将来に希望を持てるプロセスなのだということをわかっていただきたいと思います」







第3回 本文3(人材活性化)

Q.中小企業にとって「女性活躍の推進」とは、どのような意味を持つものなのでしょう?


佐佐木 「女性が働きやすい環境づくりに取り組むことは、社員の安心感や満足感を高め、そのことが社員の会社に対するコミットを高めることにつながり、ひいては、生産性の向上、業績の向上につながっていくのだと捉えています。






公益財団法人 地方経済総合研究所「熊本地震に関する熊本県内事業主アンケート(2018年調査)」より。熊本地震の被災後、どういう取り組みを行った企業がいち早く売り上げを回復できたかを分析したところ、『女性が活躍できる職場つくり』や『子育て・介護等と仕事の両立支援』に取り組んだ事業所は、取り組まなかった事業所に比べ、明らかに業績回復のスピードが速いことがわかっています。




その意味で、今回取り上げた㈱ふらここは社員のコミットを高める仕組みが構築されていて、参考になる点が数多くあるといえます。例えば、ビジョンに共感することで自発的な貢献意欲が高まり、生産性も向上するといわれていますが、女性は特にその傾向が強いといえます。㈱ふらここのように、経営理念を浸透させるような研修を設け、今の仕事が社会にどう役立つのか、といったところまで落とし込めると、目の前の仕事へのモチベーションアップにもつながります。 あるいは、㈱ふらここのように、能力開発のための研修を積極的に取り入れることも効果的です。様々なスキルを高めることは、本人のキャリアアップにもつながりますし、会社の業績向上へとつながります。 『女性活躍の推進にどう取り組めば良いのかわからない』という声をよく聞きますが、女性活躍で結果を出している企業の事例は数多くあります。経済産業省の『新・ダイバーシティ経営企業100選』をはじめ、たくさんの事例集が出ていますから、まずはそうした事例を勉強し、自社で採り入れられることは何かを探してみるところから始めてみてはいかがでしょうか。  ある中小企業の経営者の方がおっしゃっていました、『やってみれば、案外できるものです』」










女性社員が働きやすい環境づくりを進め、高い業績を維持する㈱ふらここ。今後もその取組みは続いていきます。







記事作成日

※記載されている情報は2020年6月時点のものです。




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