Q2.女性の活躍を推進するメリットとして、経営者の方々に伝えたいことはありますか?
A2.女性は出産というイベントに際し、必ず会社を離れなければなりません。産休・育休と合わせて1~2年休むこともしばしばで、その期間は労働力が減ります。
労働力の補てんのため、派遣社員を雇ったり、代替要員を採用したりと、面倒な作業が増えて余計なコストがかかるのがデメリットだと考える男性経営者が多いでしょう。また、育休が終わってすぐに退職されてしまい、保険料を負担するだけで損をしたというケースもあるようですが、これらは「女性が働きやすい環境をつくる」ことで解決できます。
我が社の育休取得後の復帰率は100%です。社内アンケートでも多くの女性が「テレワークのおかげで負担が減るので助かる」と喜んでいます。経営者の皆さんが「面倒、余計なコスト」と考えているように、女性の皆さんもまた復帰や再就職に対して同じ考えを持っているのです。会社が良い環境であれば、女性の皆さんは必ず戻ってきます。また、環境の良さはさらなる優秀な女性を呼びます。
採用面談をしていると、素晴らしい経歴を持ちながら「働きたいけれど条件が合わずに……」と就職活動を長引かせている女性が多く見かけられます。そういった方々は、必ず社内制度や支援策を見て応募してきます。
採用広告に大金をかけずとも、向こうから我が社を選んでくれるのです。私たちは働きやすい環境を武器に、常にそういった方々を多く採用してきました。環境をよくするということは、回り回ってコストを削減できるというサイクルを生んでくれるのです。
Q3.中小企業にとっての「女性活躍の推進」の意味を教えてください
A3.大企業は数十兆という莫大な売上高を計上し、数万人の雇用を生み出し、日本経済を支えています。他方、中小企業の果たすべき役割は何でしょうか。私は、「多様性」だと考えています。多様性がもたらすイノベーションによって新たなサービスを生み出し、新たな市場を創造し、日本経済活性化の火種になること、それが中小企業の戦い方です。
苦しいことに現在の日本では、出生率の低下による少子化に歯止めが利かず、経済の停滞が続いています。この脱出の鍵は、女性の活躍だと私は思います。女性が不自由なく安心して働ける職場環境を提供することで、これまで以上の労働力が生まれ、女性と男性が互いに刺激し合うことで業務能力が向上し、企業全体の発展を図ることができると信じています。
経済産業省によると、2019年の日本企業における中小企業の割合は99.7%です。中小企業が変わるということは、日本全体が変わるということなのです。