第2回 女性社員の育成について
2019年6月5日、改正女性活躍推進法が公布されました。一般事業主行動計画の策定・届出義務の対象が、労働者101人以上の事業主にまで拡大されるようになります。
女性の活躍推進における主な課題は、「就業継続」と「能力発揮・キャリア形成」の2つのテーマに集約されます。両立支援制度を利用しながら、働きつづける女性が増えてきました。しかし一方で、活躍の幅は男性に比べて限られている状況にあります。
「キャリアにプラスになるような仕事や役割を任せようとすると、及び腰になる女性が多い。女性自身の意欲が低いのではないか」といったお悩みを持った企業も多いでしょう。しかし、チャレンジングな仕事や昇進に消極的なのは、女性側だけの問題でしょうか。
職場全体が残業を前提とした働き方の場合、特に育児中の女性は、自身の成長に必要なチャンスだと理解していても、チャレンジングな仕事に対して消極的になってしまいます。さらに、上司も、そのような女性の様子を見て、「女性は仕事や昇進に対する意欲が低い」と一方的に解釈し、女性に対する積極的な育成を行わなくなる、という悪循環に陥る可能性が少なくありません。
労働力人口が減少している中、有能な人材を確保し続けるには、このような残業を前提とした働き方から脱却し、男女の区別なく、長期的なキャリア展望が描けるような職務経験や教育の機会を与えていくことが必要不可欠です。
また、男性に比べて女性は、会社や上司から仕事ぶりを具体的に評価されたり、期待を掛けられることで、昇進意欲が高まる傾向があり(図ご参照)、女性のキャリア観に対する上司の影響が大きいことが伺えます。
これから、女性活躍推進の施策を検討・見直しされる際は、女性のみを対象とした研修で終わるのではなく、上司と女性社員が共にキャリア形成について考え、実行する施策についても是非ご検討下さい。