ページタイトル

第2回 テレワークで「社員が働きやすい環境づくり」(前編)

アズテック第2回前編 ページリード(人材活性化)

第2回 テレワークで「社員が働きやすい環境づくり」(前編)




広報誌タイアップ企画・中小企業経営者インタビュー記事
あんしん財団の広報誌『あんしんLife』で紹介した「人材活性化に向けたいきいきと働ける職場づくり」について、モデル企業アズテック株式会社の深掘記事をお届けします。



アズテック第2回前編 プロフィール(人材活性化)

事業所名:アズテック株式会社

所在地:東京都中央区日本橋堀留町1-7-7 MID日本橋堀留町ビル6F
設立年:1990年
従 業 員 数:35名(男性17名・女性18名)
事業内容:主に機械・電気系メーカー、化学・バイオ系メーカーの製品開発にともなう、特許調査や技術動向調査など。

社内勉強会や外部研修にも積極的で、(独)工業所有権情報の研修館が主催する「特許検索競技大会」では上位入賞者を複数輩出。日々検索技術の向上に努め、各所で高い評価を得ている。また、「従業員が働きながら育児をしやすく、その能力を十分発揮できる労働環境を作る」を指針とし、早くからテレワークを導入。厚労省の「テレワーク活用の好事例」に掲載された。総務省の「働き方改革のためのテレワーク導入モデル」でも紹介され、厚労省東京労働局の子育てサポート企業の「くるみん認定」を取得している。
HP:http://aztec.co.jp






アズテック第2回前編 本文1(人材活性化)

テレワーク担当者に聞く導入秘話


アズテック株式会社は、製品開発や発明に関連した文献を調査するなどの特許調査や技術分析に特化した企業。2010年からテレワーク制度を導入しています。
テレワーク制度の導入に携わった総務部の小倉健太郎さんにお話を伺いました。



Q1.早期からテレワークを導入した貴社の企業方針を教えてください。
A1.弊社は「働きやすく能力を十分発揮できる労働環境をつくる」ことを目指しています。大企業ではないため、給与面ではどうしても大手と同じようにはいきません。そこで、弊社は『働きやすさ』を重視し、従業員を大切にしています。『明日どうしても休みたい』という要望に対して『いいですよ』と言える。「働きやすく能力を十分に発揮できる労働環境をつくれる」ことが、弊社の強みです。



Q2.テレワークを導入したきっかけは?
A2.テレワーク導入のきっかけは、それまでがんばってくれた女性従業員が結婚し、夫の職場である関西方面への引っ越しが決まったことです。
当時は10名未満の小さな会社で、従業員が結婚するというケースも初めてでした。当然、在宅勤務制度自体も存在せず、このような場合はいわゆる『寿退職』をするのが普通でした。しかし、あらためてその女性従業員の能力の高さと再雇用のコストを考えたとき、会社としては継続して業務を行ってもらったほうがメリットは大きいという結論に至りました。そこで『このまま雇用を継続して在宅勤務をしてみないか?』と尋ねてみると、従業員本人も『この会社と仕事が好きで、自分に向いている。引っ越し先でも同じ仕事ができればうれしい』と答えてくれたんです。すぐさま在宅勤務制度の検討を開始しました。



従業員の働きやすさを常に考え、コミュニケーションを大切にしていたことが、優秀な人材の離職防止につながった。




アズテック第2回前編 本文2(人材活性化)
【アズテックのテレワーク年表】

2010年6月:テレワーク制度導入の検討
結婚に伴い通勤困難になった従業員の要望に応じる形で、制度導入を検討

2010年8月:テレワーク制度導入開始

従業員がより働きやすい制度を目指して、制度利用者・非利用者にかかわらず、従業員にヒアリングを行い、テレワーク制度の改善を続ける

2017年5月:テレワーク制度の対象者について改善
制度開始以降、妊娠中の通勤・勤務がつらいという声が上がり、出産後の育児だけでなく妊娠中も対象に

2020年3月:テレワーク制度の対象者について改善
新型コロナウイルス感染症の感染拡大に面し、全従業員を対象に

―――以下、将来の展望―――

2021年以降:テレワーク制度の拡大
希望する従業員に対しては条件に関わらず許可する予定。入社時からテレワーク制度利用を前提とした雇用により、国内遠方の地域や海外人材の獲得も視野に入れて制度の見直しを検討中。






アズテック第2回前編 本文3(人材活性化)
Q3.新しい制度の導入にはさまざまな苦労があるかと思います。テレワーク導入時に注意した点を具体的に教えてください。
A3.弊社は特許情報を調査するという業務の特性上、多くの機密情報を取り扱うため、かなり厳しいセキュリティー体制を取っています。テレワーク制度を導入するなら、これまで同様のセキュリティー性能を保ったまま、自宅と会社のパソコンをつながなければなりません。また、コストの問題や仕事環境の変化への対応も必要でした。



●ポイント①:最適なテレワーク技術の選定
いまでこそ、テレワークを導入する企業向けのサービスがたくさんありますが、当時はテレワークという言葉自体が社会に浸透していない時期でした。そのため、サービスが少なく、あったとしても大企業を対象としたものが中心だったんです。セキュリティーを担保しようとすると、規模や価格に折り合いがつかないものがほとんど。リサーチにリサーチを重ねた結果、VPN接続(暗号化によってセキュリティーを高めた仮想の専有回線)をつかった方法であれば、必要な規模で価格を抑えながらも、セキュリティーを保つことができるとわかったんです。
そのサービスの採用によって在宅勤務を許可するという社内制度をつくることができました。従業員と相談して「やろう」と決めてからは、システム・サービスの検討、機器の購入、契約書や規則の変更など、およそ2ヵ月で準備を整えました。



●ポイント②:社内ルールの作成 
業務内容は従業員ごとに異なり、どの程度までテレワークで実施可能な業務とするかは会社が定めるため、ほぼ全てのルールや作業工程を見直すことになります。とはいえ、『同居人は部屋に入って良いのか』『会議中の音声が周囲に漏れてしまう』『紙資料の扱いはどうするか』など細かいケースを、最初からすべて洗い出すのは困難です。業務を想定したロールプレイングや、実際の業務を通して、社員とともに改善していきました。



●ポイント③:コミュニケーション

テレワーク中は、チャットやメールなど文章による会話が多くなります。どうしても相手の表情や話し方による情報が欠落してしまい、意図や考えが正確に伝わらず、すれ違いが発生してしまいました。これは今後も継続して改善が必要な課題。解消するために、従業員同士がもっと交流のできる機会やシステムを、会社が意図的に投入していくことが必要だと考えています。
また、テレワーク制度の非利用者の理解も重要です。オフィスで働いている人から見ると、テレワークをしている人が優遇されているように思えてしまうのは仕方のないこと。その分、『男性でも、育児など必要なときはテレワーク制度を利用できる』『働き方に関して、会社は全面的にサポートを行う』ということを積極的かつ継続的にアナウンスするようにしています。





アズテック記事作成日

※記載されている情報は2020年9月時点のものです。




アズテック目次

あんしん財団広報誌タイアップ企画・第2弾  アズテック株式会社
新しい働き方として「テレワーク」が浸透しつつあります。特許・権利調査などを行う株式会社アズテックは、約10年前にテレワークを導入し、離職防止、新規採用等において成果を上げています。今回は、テレワークの導入の基本・導入の課題などを紹介します。 (2020年10~11月)

第3回 女性活躍に重要なこと
第2回 テレワークで「社員が働きやすい環境づくり」後編
第2回 テレワークで「社員が働きやすい環境づくり」前編
第1回 社会保険労務士が解説!テレワーク導入で人材不足を解消!
あんしん財団広報誌掲載記事・人材活性化に向職場づくり~中小企業のテレワーク制度~