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4 「完全脳食」の卵を朝食に食べる

コラム04

4 「完全脳食」の卵を朝食に食べる


その日の脳の働きを左右する大切な食事が朝食です。
脳は、眠っている間、起きている間よりすることが多いので(知識の生成と記憶の定着)、エネルギーを使いきります。脳神経信号のエネルギー源はブドウ糖。そう、血糖なのです。
血糖値が高いと健康に悪いのは、いまや誰もがご存じだと思いますが、血糖は脳の大事なエネルギーで、脳が正常に稼働するには、最低でも80mg/dLは必要なのです。低血糖は、明らかに脳を劣化させます。高血糖もさることながら、低血糖にも注意が必要です。
特に、起床時は、前の食事からの空き時間が長く、血糖が脳の進化に使われた後なので、基本的に低血糖状態で、脳がエネルギーを求めていますから、朝食は重要ということになります。 朝ごはん抜きが習慣になると、脳はできるだけ脳神経信号を節約しようとして、不活性状態をデフォルト(通常設定)としてしまいます。常にぼーっとしていて必要最小限の思考だけする、というのも生き方の一つの道かもしれませんが、働き盛りの企業人にはおすすめできません。

そして実は、朝食抜きよりも「糖質だけの朝ごはん」のほうが大問題です。朝食抜きなら脳神経信号を節約するだけなので、新しい情報が入ってこない程度のロス(学生には深刻ですが、代わり映えしない生活をする大人にはあまり問題ないかも?)で済みますが、朝から糖質たっぷりの食事だと、脳神経信号が乱れて混乱するからです。甘い朝食(パンやパンケーキ、ジュース、甘いコーヒーだけで済ます)が定常化すると、やる気や集中力の低下、イライラや不安感、急な眠気などに襲われ、感情のコントロールがうまくできなくなります。

その理由は、血糖値の乱高下。
寝起きの低血糖状態の脳は、甘いものを欲しがります。その欲求に従って、甘いもので朝食を済ませると、一気に血糖値が上昇します。食べている間は幸せで、食後は元気が出たような気がします。
ところが、急な血糖上昇に脳はびっくり。ブドウ糖は分子構造が大きいので、濃度が高くなりすぎると毛細血管で支障が起こります。このため、インスリンというホルモンを緊急分泌して、一気に血糖値を下げようと試みるのです。これが効きすぎた結果、朝食後30分ほどで低血糖状態になり、好奇心や集中力が薄れ、だるくてやる気の出ない状態になります。
やがて、脳が正常に稼働する最低血糖値80 mg/dLを下回ってくると、今度は脳が血糖値を上げようとして、アドレナリンなどのホルモンを噴射します(血糖値が40 mg/dLを下回ると意識を失うので、脳は放っておけないのです)。アドレナリンは攻撃的になるホルモンなので、イライラしてキレる、というわけです。
だるそうにしていたかと思うと、いきなりキレる人。職場にいませんか? 午前中なら朝ごはんの、午後なら昼ごはんの食べ方に失敗してしまった人たちです。

朝から脳を活性化させるためには、パンやごはんなどの糖質だけではなく、タンパク質、ビタミン、繊維質などの栄養素を一緒に取ることが重要です。
ある男性脳科学者が「旅館の朝食のような朝ごはん(魚、納豆、ヒジキなどの小鉢、卵、味噌汁)が最高」といっていました。確かにそうですが、主婦脳科学者の私としては、手っ取り早く脳に必要な栄養素を取る手段をアドバイスしたいと思います。卵です。卵を中心に朝食メニューを組み立てましょう。
卵は、脳神経信号を制御する栄養素(アミノ酸、ビタミンB群、ビタミンE、レシチン、コレステロールなど)を豊富に含んでいます。脳に必要な栄養素をビタミンC以外、全部持っているため、「完全脳食」とも呼ばれています。
ちなみに、「健康の絶対悪」と思われているコレステロールですが、脳では、脳神経信号の減衰を防ぐ、大事な立役者なのです。低コレステロールの人は、せっかく発した脳神経信号が目的の場所まで届かず、思考力が鈍くなります。やる気、集中力、好奇心の信号も減衰します。低コレステロールが定常化する(低コレステロール症)と、メンタルダウンは避けられません。
コレステロール値が上がるのを心配して卵を控えているという人もいますが、コレステロールは脳の機能を活性化させるために不可欠な栄養素です。医師から制限されていなければ、1日の始まりの朝にぜひ卵を食べてください。
卵は、このほか、小腹が空いた時(会議前、残業前、子どもたちなら塾前)にもおすすめです。夜食が食べたかったら、熱々のだし汁に生卵を解いたスープを飲むと、眠っている間の脳と肌の進化を加速させます。
7日間プログラムの間は、1日2~3個を食べてみてください。調子がよければ、そのまま継続しても大丈夫です(卵は「1日1個」というのは都市伝説です)。

朝食では、生卵、ゆで卵、目玉焼き、卵焼き、オムレツなどなんでもOK。消化力が弱い方は、温泉卵がおすすめです。我が家では、「卵、何にする?」が朝食の合言葉になっています。
そうした卵料理に、ビタミンCや食物繊維を含む野菜と、パンやごはんなどの糖質を組み合わせましょう。卵かけごはんと野菜多めの味噌汁、マフィンに目玉焼きを載せたイギリス式朝食にオレンジジュースやサラダを添えるのもいいですね。糖質、タンパク質、食物繊維、ビタミンCなどのバランスのよい朝食をとることで、血糖値が安定し、脳の機能も活性化します。午前中から機嫌よく、調子よく仕事ができるはずです。

朝食だけでなく、昼食や夕食も糖質、タンパク質、ビタミンなどのバランスが取れた食事が大切です。なお、午後から会議がある日のランチは、麺類や丼物のような単品メニューはNG。単品メニューを頼むなら、野菜のお浸しやサラダ、豆腐などの小鉢を追加しましょう。糖質過多の昼食で午後の会議に臨むと、途中で低血糖になって脳が疲れやすくなり、怒りっぽくなったり、建設的な議論ができなくなったりします。会議のある日は、特にバランスのよい昼食をとるように心がけましょう。
朝日を浴びながら朝食に卵2つ
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