■脳が喜ぶ食事とは(佐藤※ 智春氏)※「藤」の字は旧字。
分子栄養学では細胞は栄養で出来ていてその細胞内の栄養が不足することで不調になることを示している。細胞は常にターンオーバーをしながら生命活動をしている。そのことを踏まえて以下の内容を理解し、正しく食べることが「脳が喜ぶ食事」であることを知ってもらえるとうれしい。
【人体の構成と体内時間について・・・】
①人体はどんな栄養素でできているか?
人体は約60%が水分、たんぱく質が20%、脂質が15%、その他、ビタミン・ミネラルで構成されている。たんぱく質は体重1㎏に対して最低1.1g必要である。黒川先生のいうように、ブドウ糖は脳を動かすエネルギー源だが、特に脳の健康を保つためには、たんぱく質や脂質も同じくらい重要である。
②脳の細胞は何からできているか?
脳は水分を抜いて40%がたんぱく質、60%が脂質、その脂質の50%はコレステロールである。コレステロールは神経や細胞の材料だが、肝臓で8割ほど作られる。そして肝臓から各器官に送られ、細胞の膜や男性・女性ホルモン、ストレスから身体を守るためのステロイドホルモンとなる。コレステロールは私たちの生命活動にとって、とても大切な物質である。加えて第2の脳と言われる腸は脳と相関関係があり、特に幸福ホルモンと言われるセロトニンは腸で95%・脳で5%作られるといわれ、光だけではセロトニンはできない。毎食、毎食、腸のために食べると、おのずと脳のための食事になっていくはずである。
③何をいつ食べるのが一番理想的なのか?時間栄養学と1日
時計遺伝子が発見され1日の食事を「いつ」「どのように」摂るかも脳のために注目されてきた。
脳には視交叉上核(しこうさじょうかく)に主時計があり朝の光を浴びて、スイッチが入る。一方、末梢細胞には体内時計があり朝食を食べることでスイッチを入れる(起きて2時間以内に食事をする)。
1日の食事の回数は2〜3回。欠食やダラダラ食いはメタボや肥満につながる。
昼食は午後のパフォーマンスを落とさぬように食べる順番と摂る糖質を考える。
夜食は寝る3時間前までに終了するのがよい。夜ドカ食いをすると、肝臓の末梢時計が夜型にひっぱられ朝食を抜きやすくなる。
すると、内臓のスイッチが入らず昼食後に血糖値スパイク(食後の血糖値が急上昇・急降下を起こす状態)が起こる。
※朝型・夜型は遺伝的に決まっていることもあるようだが、食事のとり方で末梢細胞のスイッチが入ることを理解し、次回以降は私の考える食事を朝・昼・夜・効果的な間食に分けて各々の意味と内容を提案していこう。
出典:一個人(2018年8月号)より
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