【解説】「小1の壁」の実態と小学校就学以降の働き方のポイント
短時間勤務の部下が子供の小学校入学を機にフルタイム勤務になったら、責任のある仕事を任せようと考える上司も多いのではないでしょうか。子どもが小学生になると、保育園の時よりも余裕をもって仕事に取り組めるようになるのでは、と考える人が少なくありません。しかし、実際には、「小 1 の壁」に直面するケースが多々あります。
「小1の壁とは」
「小 1 の壁」とは、子どもが小学校に入学するタイミングで、仕事と家庭の両立を困難に感じることを言います。仕事と家庭の両立では、保育園の待機児童問題に注目が集まりがちですが、小学校入学のタイミングで再度、仕事と家庭の両立が難しくなり、やむなく働き方を変更したり、働き続けることが困難になることがあります。
今回は、「小 1 の壁」の実態と小学校就学以降の働き方のポイントを紹介します。
まず 1 つ目の壁として、共働き世帯の増加を背景とした、学童待機問題があります。厚生労働省が公表した 2019 年の放課後児童クラブの待機児童数は、1 万 8,261 人と過去最高を更新しました。また、学童に入所できたとしても、午後 6 時台に閉所する学童が多く、保育園の時よりも早く迎えに行く必要がでてきます。そして、毎日の帰宅後には、子どもの宿題をみたり、精神的ケアが必要な場合もあります。また、頭の痛い問題として、夏休みなど長期休みや、台風など警報発令時の休校対応もあります。
さらに、短時間勤務制度の対象が「小学校入学まで」となっている企業の場合、小学校入学のタイミングでフルタイムに変更になるケースもある等、様々なことが重なり、困難を極める人も少なくありません。
上司は、こうした状況を十分に理解し、部下と定期的にコミュニケーションをとることが求められます。そして、状況に応じてフレックスタイム制度やテレワーク制度など、柔軟な働き方の活用をアドバイスすることが有用です。特に、テレワークは通勤時間が不要となるため、フルタイムで仕事ができる可能性が広がります。現在、柔軟な働き方ができる制度等が整っていない場合、積極的に会社に働きかけていくことも重要です。
(出所)東京ガス 都市計画研究所調べ 小学校入学に伴うママの悩み~共働きママが悩む「小1の壁」とは~ (2017年)
https://www.toshiken.com/report/community09.html?_ga=2.39211748.63567590.1605674223-1885720947.1605674223