【解説】短時間勤務社員の評価基準とは
短時間勤務社員に対する評価の基本的な考え方は、働く時間が短くても、本人の実績や成果に公正に報いるということです。上司のコメントにあるように、「時短だから(評価が低くても)仕方がない」ということでは、短時間勤務社員の仕事やキャリアに対する意欲が損なわれるかもしれません。自社の評価ルールや運用について、今いちど、確認してみましょう。
目標管理を用いた評価を行う場合、仕事配分と同じ考え方で目標の設定を行います。目標の量は、短縮した勤務時間で実施可能な量に調整する必要がありますが、質については、フルタイム勤務と同様に、本人に対する期待役割やスキルに見合ったレベルの内容に設定します。
適切な目標を設定するには、管理職と本人でしっかり話し合い、お互いに納得できる目標を作りこむことが重要です。育休復帰者や短時間勤務社員のキャリア支援を重視する企業ほど、このような考え方に沿った目標設定や評価を行う傾向にあります(図表ご参照)。
また、能力発揮度や行動を基準とした評価を行う場合は、同一役職位のフルタイム勤務者と同じ評価基準を適用します。短縮した勤務時間内において、期待される能力発揮や行動があったのか、という視点で本人の実績を評価します。
さらに、客観的な視点で評価できるよう、評価対象期間中の管理職と本人との中間面談を実施するようにしましょう。定期的に進捗確認やフォローを行うことで、評価に対する納得性が高まることが期待できます。
このような評価ルールを設定した後は、管理職への周知も欠かさず実施しましょう。評価ルールに関するガイドブックの配布や、評価者研修は有効な手段です。一人ひとりの頑張りに対して、公正に報いる評価となるよう、是非、ご検討ください。
注)従業員数101人以上の企業
出所:三菱UFJリサーチ&コンサルティング「平成30年度仕事と育児等の両立に関する実態調査のための調査研究事業(企業調査)」
(厚生労働省委託事業)平成31年2月