【解説】時代の変化にあわせた意識改革
「子どもが生まれたら女性は働かずに家にいたいだろう。」
「もし働くとしても、時短の方が女性にとっても負担が少なくて良いだろう。」
「両立支援制度を使いたいのは女性だけで、男性にはニーズはないだろう。」
漫画の中に出てくるこのような考え方は、本当に働く人の希望を反映したものといえるでしょうか?
結婚や子どもの成長段階に応じた働き方の理想をみてみましょう(図表参照)。女性は、子どもが3歳以下では「働きたくない」や「短時間勤務」に次いで、「家でできる仕事」を希望する人が多くなっています。また、子どもが大きくなるにつれて、「働きたくない」は減っていき、かわって「残業のないフルタイム(時間帯等の柔軟性あり)」を希望する人が増えていきます。
同様に男性についてみると、結婚前や子どもが生まれるまでは「残業のあるフルタイム」が多いものの、子どもが生まれるとそうした希望は大きく減り、かわって「残業のないフルタイム(時間帯等の柔軟性あり)」を希望する人が増えていきます。
このように、実際には男女ともに、結婚、出産、子どもの成長などライフステージに応じて働き方を柔軟に変えたいという希望を持っていることが多く、さらに、同じライフステージにおいても、個々人の希望にはバラつきがあることがわかります。育児だけでなく、今後は中高年の社員を中心に、介護をしながら働く人も増えることが見込まれます。労働力人口の減少とともに働き手の多様化が進み、これからは女性だけではなく男性も含めて、社員が何らかの制約を抱えながら働くことが当たり前の時代になるでしょう。
もし、企業経営者や管理職が冒頭のような考え方を持っているとしたら、第2回「パートが幸せ?短時間正社員制度導入編」でもふれたように、まずはそうした先入観を持たず、社員一人一人とよく話し合ってみることが大事です。また、そうした意識改革とあわせて、今後は、柔軟なキャリア形成が可能となるような人材育成・人事異動等の人事施策を検討・整備することが一層求められます。
ライフステージに応じた働き方の理想
男性 |
女性 |
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注)調査対象は、20~49歳の男女各4,000名。
出所:三菱UFJリサーチ&コンサルティング「ライフプランニング支援に関する調査」2019年