近年、注目の「フェムテック」は何を目指して、どこまで進化しているのか――深掘りしてみました。 * 女性のヘルスケアに関わる課題をテクノロジーで解決する分野。 Femtech= Female( 女性)+ Technology(テクノロジー)
ビジネスの現場で、月経やPMS(月経前症候群)、不妊治療や妊娠中、産前産後のさまざまな症状、更年期など女性ならではの健康課題をケアし、誰にとっても働きやすい環境を整えること。それにより全体のウェルビーイングを向上するべく、先端技術を用いたソリューションを提供するのがフェムテックの基本です。フェムテックを通じ、従来は男性側の視点で捉えられがちだった職場や働き方を、女性にも100%のパフォーマンスを発揮できるようにすることで、企業には多様で優秀な人材の確保・定着、さらには業績の向上が期待できるでしょう。
日本では企業や社会における女性の健康問題への理解が、まだまだ十分ではありません。結果、月ごとのつらい生理や不妊治療、 閉経前後のケアなど、多くは女性自身が人知れず対応しなければいけなくなっており、管理職や経営陣への登用を含めたキャリア構築の面で少なからぬ不利を招いています。フェムテックにおいては下の図のようにさまざまな技術を活用。性差を越えた課題の共有と職場全体での取り組みをはかるとともに、関連市場の成長による経済効果にも熱い視線が寄せられています。 月経に伴う生理痛の相談や毎月の薬の処方に特化したオンライン診療を活用。処方された薬は宅配サービスで自宅でも受け取れます。 一人ひとりの月経周期や排卵日を把握して妊活の精度を向上。データに基づいてパートナーと相談したり、オンラインでの不妊相談も。 月経に備え、オフィスの化粧室に生理用品のディスペンサーを整備。ペーパーや手洗い用の石鹸などと同様、誰もがいつでも使えるようになります。 スマホによる管理アプリが普及。若い世代では、体調不良を予測しパートナーや家族にチャットボットが知らせる機能も広がっています。 全社的理解に向け社内ネットでの教育のほか、生理痛体験デバイスの装用などで男性も痛み・つらさを知り、話しやすい社内文化の醸成も。
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一般社団法人Femtech Community Japan代表理事 皆川朋子 東京大学・ケンブリッジ大学修士(MBA)。 外資系ITコンサルティングを経て、多数の企業の執行役員、取締役・事業責任者を経験。女性起業家支援に携わる。2021年に女性ヘルスケア領域のイノベーション推進を行う業界団体Femtech Community Japanを設立。 https://www.femtechjapan.org/