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第3回 “効果的な女性活躍”につながる自社の状況把握・分析のポイント

行動計画 第3回本文1

第3回 “効果的な女性活躍”につながる自社の状況把握・分析のポイント


女性活躍の推進を図るために、一般事業主行動計画の策定は重要ですが、「いったい何から手を付けたらよいかわからない」という声をよく耳にします。そこで、今回は女性の活躍に関する状況把握と課題分析の進め方について解説します。








行動計画 第3回本文2

基礎項目から自社の状況をチェックする



一般事業主行動計画の策定にあたって、まずは基礎項目(必ず把握すべき項目)で自社の状況をチェックします。その結果、課題であると判断された事項について、選択項目(必要に応じて把握する項目)を活用し、さらにその原因の分析を深めます。では、基礎項目について、それぞれの内容を見ていきましょう。



(1)採用した労働者に占める女性労働者の割合


この割合については、下記の計算方法により求めることができます。

直近の事業年度の女性の採用者数(中途採用を含む)÷直近の事業年度の採用者数(中途採用含む)×100(%)

これは雇用管理区分ごとに算出します。雇用管理区分とは、職種、資格、雇用形態、就業形態などの労働者の区分であって、区分ごとに異なる雇用管理を行われるものです。たとえば、正社員・契約社員・パートタイマーなどがわかりやすい例といえます。



(2)男女の平均継続勤務年数の差異


これも雇用管理区分ごとに把握しますが、対象となるのは、無期労働契約の労働者および同じ使用者との間で締結された2以上の有期労働契約を通算した期間が5年を超える労働者です。



(3)労働者の各月ごとの平均残業時間数等の労働時間(健康管理時間)の状況


これは、下記の計算方法により求めることができます。

「各月の対象労働者の(法定時間外労働+法定休日労働)の総時間数の合計」÷「対象労働者数」




(4)管理職に占める女性労働者の割合


ここでいう管理職とは、「課長級」と「課長級より上位の役職(役員を除く)」にある労働者の合計をいいます。呼び方に関係なく、職務の内容及び責任の程度が課長級に相当するものであれば該当しますが、同一事業所において一番下の職階である場合は対象となりません。
計算方法は、以下のとおりです。

女性の管理職数÷管理職数×100(%)












行動計画 第3回本文3

自社にあった課題分析には「入力支援ツール」の活用も


課題分析については、「入力支援ツール」を活用すると便利です。まず基礎項目に関して必要事項を入力すると、項目ごとに判定の目安となる指標があり、タイプ別に判定をしてくれます。次に、提示された選択項目を入力し、課題を検討していきます。目標設定の例なども確認できるので、参考とされてみてはいかがでしょうか。
一般事業主行動計画策定入力支援ツール[XLS形式:476KB]



厚生労働省パンフレットより抜粋



たとえば、基礎項目で、管理職に占める女性労働者の割合が低いとしましょう。これは20%を下回ると判定が✕となります。正社員の女性採用や勤続年数など他の基礎項目に問題ない場合、判定結果としてタイプ①(女性の採用・就業継続はできているが、管理職が少ない企業)と示されます。


そこでタイプ①のシートを開き、さらに特徴・課題を分析します。「女性の採用・就業継続はできているが、管理職が少ない企業」のタイプであれば、
・復職女性の配置や能力発揮・キャリア形成が困難か
・仕事のアサインや評価の差などにより昇進・昇格が困難であるか
自社の特徴をつかみ、課題分析を進めると効果的であるとサジェスチョンしてくれます。


たとえば、管理職が長時間労働であり、女性社員にとって、仕事と家庭の両立がしづらく昇進希望を持ちにくいような状況になっていないか、といった視点で一般職と管理職の勤務状況を比較してみます。そうした状況が認められるようであれば、目標として「管理職の労働時間を月〇時間以内にする」、さらに取り組み内容として「業務分担の見直しなどで長時間残業を削減する」といったように行動計画につなげていくことができるでしょう。


基礎項目で問題が複数ある場合は、すべての選択項目を確認できるシートもあります。状況を把握することが効果的である選択項目は、以下の内容があります。

【選択項目】
①採用
②配置・育成・教育訓練
③評価・登用
④職場風土・性別役割分担意識
⑤再チャレンジ(多様なキャリアコース)
⑥取り組みの結果を図るための指標
⑦継続就業・働き方改革


女性活躍の推進には、取り組むべき課題がたくさんあります。どこからアプローチすると自社にとって効果的かといえば、客観的に数字による状況把握を行ったうえで、課題を分析することは言うまでもありません。時間をかけてじっくりと取り組んでみましょう。










行動計画策定のポイント 解説者プロフィール



執筆者:人事労務コンサルタント・社会保険労務士 佐佐木 由美子氏

2005年3月、グレース・パートナーズ社労士事務所を開業、その後グレース・パートナーズ株式会社を設立し代表に就任。人事労務・社会保険面から経営を支援し、女性の雇用問題に積極的に取り組んでいる。新聞・雑誌等、多方面で活躍。
HP:https://gracepartners.jp/




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※掲載情報は2020年11月現在のものです。

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