脳のために意識して食べることは、毎日の体調管理につながる。そこで、3食のうち、特に脳のために食べることを意識したい夕飯では、3つのポイントを理解しメニューを選んでもらいたい。夕飯は、睡眠の質を考えるとともに、朝いかにスッキリ&ごきげんに起きられるかを考えて食べてほしい。 ①時間栄養学的な観点から考えると、夕食は寝る3時間前には終え、糖質は少なめにすると体内時計にとってベストかつ、様々な疾病につながる肥満を防ぐことができる。糖質の多い夕食をとると、翌朝、低血糖になりやすく、ぐずぐず目覚めが悪くなる可能性がある。 ②分子栄養学的な観点から考えると、たんぱく質は人体に欠かせないため、1日に必要な分量をしっかり摂れているか着目してほしい。具体的には体重1㎏=1.2~1.5g/日として、朝・昼・夜、バランス良く食べ、尚且つ、夕飯で3分の1量を摂れているか、また、1日のたんぱく質の量がトータルで足りているかを調整してほしい。 ※睡眠の質を上げたり、睡眠障害の改善に必要なグリシン※は、抑制系の神経伝達物質として働く最も小さい分子量のアミノ酸。その元となるたんぱく質は是非とも不足なく摂りたい栄養素である。また、人体のコラーゲンの3分の1がグリシンで構成されている。このため、寝ている間の皮膚の修復、さらに、筋肉の強化、疲労回復としてもありがたい栄養素である。 ※グリシンは脳幹や脊椎に分布する人体で合成できる非必須アミノ酸だが、偏食の多い人、たんぱく質の摂取が十分でない人は、グリシンが不足することで老化が早くなり、「眠れない」という症状のサインが出やすい。 ③最後に、夜の睡眠の質を上げるためには、マグネシウムは重要な栄養素となる。睡眠ホルモンのメラトニンは、日中のセロトニンから作られる。セロトニンからメラトニンが作られるときに、マグネシウムが必要になり、睡眠の質を上げてくれる(朝食編参照)。また、マグネシウムは、朝方、交感神経が優位になる時に血圧が急激に上がる際(モーニングサージ)の調整にも関与している。このため、不足していると、寝起きに脚がつるという症状が出やすくなる。寝る前のマグネシウム、それと一緒に働くカルシウムは是非、夕飯のメニューに加えたい。 次のページからは、この3つのポイントを踏まえて、参考食材とメニューをアドバイスしていこう。
■脳が喜ぶ食事
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