■脳は栄養で動いている 脳科学の立場から ~脳と栄養の深い関係(黒川 伊保子氏)
私は、人工知能のエンジニアとして、脳を装置に見立てている。脳とは「どのような機能ブロックで構成されていて、どのように制御されている装置なのか」、そんなふうに。
その立場から言えば、いい脳の定義は明確である。すべての機能ブロックの制御がうまくいっている脳のことだ。すべての機能ブロックがうまく制御されていると、やる気がなえない、好奇心と集中力に満ちた、自己充足度の高い一日を送ることになる。勘が働き、記憶力もいい。この脳なら、何をしたってうまくいく。
では、どうしたら、いい脳になれるのだろう? そのカギの一つは、血液栄養にある。
脳神経信号は、電気信号である。電気を起こすにはエネルギーが要る。そのエネルギー源は主にブドウ糖。糖は血液を介して全身の細胞に運ばれ血糖となり脳に運ばれる。血糖値の安定は、情緒の安定。血糖値を乱高下させない食べ方をマスターするのは、人類の必須科目と言っていい。
さらに、私たちの脳の中では、脳神経信号を強めるアクセル役のホルモンと、脳神経信号を抑制するブレーキ役のホルモンがうまく連携することで、好奇心や集中力を作り出し、脳を進化させている。このホルモンの材料が、たんぱく質やビタミンB群だ。そして、意識を保つのに必須の酸素を脳に届けるために、酸素の運び屋・鉄が要る。
どんなに性能のいい脳でも、血液栄養がなければ動かない。勉強だけじゃ頭はよくならないし、気合だけじゃ人はそう長く頑張れない。つまり、人生の質は、脳の質、そしてそれは食事の質なのである。
何をどう食べればいいの~!という読者のお声が聞こえてくるようだ(微笑)
というわけで、この連載では、バイタル・アナリストの佐藤智春さんをパートナーに迎えて、脳のための食べ方について、ご指南していこうと思う。
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